防災グッズをそろえようと売り場やネットを眺めても、種類が多すぎて何から手をつければいいのか分からず、その日は何も買わずに終わってしまう。ようやく買い集めても、いざ点検すると肝心の何かが抜けている。そんな経験を持つ人は少なくありません。備えが形にならないのは面倒だからではなく、全体像がないまま一点ずつ買おうとして迷子になるからです。
抜けを防ぐ近道は、思いつきで買うのをやめ、品目を一覧にして管理することにあります。とはいえ、防災グッズのリストは数が多く、避難所へ持ち出す品と自宅で使う品がごちゃ混ぜだと、結局どれを先にそろえればいいのか分からなくなってしまうものです。
そこで役立つのが、防災グッズを一次持ち出し用と二次備蓄用の2枚のリストに分ける考え方です。この記事では、それぞれの中身を用途カテゴリごとに一覧化し、家族構成に合わせた足し方、印刷してチェックしながら使う方法までをまとめました。自宅の備えの過不足を洗い出す手がかりとしてお使いください。
防災グッズリストの基本と一次・二次の分け方
防災グッズは、そろえる前に「どこで使うか」で2つに分けると迷いが減ります。まずは一次持ち出し品と二次備蓄品という考え方と、それぞれの役割の違いから押さえていきましょう。
防災グッズは一次持ち出し品と二次備蓄品に分けてそろえる
防災グッズを思いつきで一点ずつ買っていくと、似たような品が重なったり、逆に肝心の品が抜けたりして、いざというときに機能しません。抜けを防ぐ近道は、避難所へ持ち出す一次持ち出し品と、自宅にとどまって使う二次備蓄品の2階建てで考えることです。
この2つは役割がはっきり違います。一次は「両手が空くリュックに詰めて背負って逃げる最小限」、二次は「家で数日暮らすためのまとまった量」と、性格が分かれます。リストを2枚に割ると、何がどこに必要かが見えて、過不足を洗い出しやすくなるでしょう。どちらを優先し、本当に必要なものは何かをさらに掘り下げたいときは、こちらの記事もあわせて確かめてみてください。

一次持ち出し品は避難所へ持ち出す最小限にしぼる
一次持ち出し品は、地震や火災で自宅を離れるとき、数十秒で背負って逃げるためのものです。あれもこれもと詰め込むと重くて動けなくなるので、背負える重さはおおよそ体重の1割、成人男性で15キロ、女性で10キロ以内を目安にします。
中身は「命を守る水・食料」「明かりと情報」「衛生・救急」「貴重品」に絞り込みます。なくても数時間はしのげる品は、思い切って二次の備蓄へ回すのがコツです。持ち出し袋は玄関やベッドの脇など、すぐ手が届く場所に置いておきましょう。夜中に被災しても、家族全員が暗闇の中で背負って動ける状態にしておくことが大切です。詰め終えたら一度背負って歩いてみると、重すぎないか、肩が痛くならないかを体で確かめられます。
二次備蓄品は在宅避難で数日生活する量をそろえる
二次備蓄品は、自宅が無事なとき、電気・ガス・水道が止まった中で数日を暮らすための備えです。大きな災害では支援物資が届くまで3日ほどかかるとされ、在宅避難が長引く地域では1週間分あると心強いものです。
こちらは水・食料・トイレ・熱源・電源を、持ち出せる量にこだわらずまとまった単位でそろえます。収納の分散を考えるのも二次備蓄の役割です。一次のリュックとは別に、キッチンや押し入れ、寝室など自宅の複数の場所に分けて置いておきます。1か所にまとめると、その部屋が家具の転倒でふさがれたとき一気に使えなくなるので、置き場所を散らしておくと安心できます。ふだん使わない品はクローゼットの下段や床下収納にしまい、水や食料は取り出しやすい場所に置くと、日々の暮らしの邪魔にもなりません。
一次持ち出し用の防災グッズリスト
避難所へ背負っていく一次持ち出し袋は、軽さと最小限が命です。ここでは、持ち出し袋に入れておきたい品目を、水と食料、明かりと情報、衛生と救急、貴重品の用途別に見ていきます。
命を守る水と食料は最小限を持ち出し袋に入れる
一次持ち出し袋の水と食料は、避難所へ移動して落ち着くまでの、数時間から1日分があれば十分です。重い2リットルボトルは入れず、500ミリリットルの飲料水を数本と、袋を開けてすぐ食べられる栄養補助食品やチョコレート、アメといった行動食を選びます。
火や水を使わずそのまま食べられる品にしぼると、調理できない避難所でも口にできて頼りになります。スプーンや箸が要らず、手で持って食べられる形の品を選ぶと、食器を洗えない状況でも扱いやすいものです。下の表に、一次持ち出し袋にそろえたい品目を用途別にまとめました。ここの水と食料はあくまで移動中をしのぐ「つなぎ」で、しっかり食べる分は二次の備蓄で確保する前提にしておきましょう。
| 用途 | 品目の例 | 目安 |
|---|---|---|
| 水・食料 | 飲料水(500mL)・栄養補助食品・チョコ・アメ | 1日分の行動食 |
| 明かり・情報 | 懐中電灯・ヘッドライト・手回しラジオ・モバイルバッテリー | 1人1灯+予備電池 |
| 衛生・救急 | マスク・ウェットティッシュ・携帯トイレ・救急セット・常備薬 | 3日分 |
| 防寒・雨具 | アルミブランケット・レインコート・軍手 | 1人1組 |
| 貴重品・連絡 | 現金(小銭)・身分証コピー・連絡先メモ・ホイッスル | 1式 |
情報と明かりの道具で停電と孤立に備える
停電すると夜は一気に真っ暗になり、通信障害が重なるとスマホで情報を取ることもできなくなります。懐中電灯かヘッドライトを1人1灯、手回し充電のできる防災ラジオ、そして満充電にしたモバイルバッテリーを持ち出し袋に入れておきます。
ヘッドライトは両手が空くので、移動や作業をしながらでも足元を照らせて便利です。防災ラジオは、通信が途絶えても避難情報や気象情報を耳から得られる二重の情報源になります。電池式の道具には替えの乾電池を、充電式には充電ケーブルをセットにして入れておくと、いざ使うときに電池切れで動かない事態を避けられるでしょう。持ち出し袋の防災リュックのそろえ方は、次の記事でさらに詳しく見ていきます。

衛生と救急の用品で避難所の不便をしのぐ
避難所は手洗いや入浴が難しく、水を使わずに清潔を保つ品が欠かせません。マスク、ウェットティッシュ、歯みがきシート、携帯トイレ、救急セット、常備薬をひとまとめにして持ち出し袋に入れておきます。数日分をコンパクトにそろえておくのがポイントです。
持病のある人は、お薬手帳のコピーを一緒に入れておくと、避難先で飲んでいる薬をすぐ伝えられます。感染症を防ぎ、けがの応急処置ができる最小限のセットが、避難生活の体調を大きく左右するものです。生理用品や乳児のおしりふきなど、家族に応じて欠かせない衛生用品も、このカテゴリにまとめておくと取り出しやすくなります。歯みがきシートやマウスウォッシュは、かさばらず期限も長いので、持ち出し袋に入れっぱなしにしても管理が楽です。
貴重品と連絡手段は分散して持ち出す
停電でカードや電子マネーが使えないと、現金がなければ水や食料を買えない場面が出てきます。千円札と小銭、身分証や保険証のコピー、家族の連絡先を書いたメモ、公衆電話をかけるための小銭を、まとめて持ち出せるようにしておくとよいでしょう。
ホイッスルを付けておくと、がれきの下に閉じ込められたとき、声を出すより少ない体力で自分の居場所を知らせられます。貴重品は、リュックの取り出しやすいポケットと、体に付けるウエストポーチの2か所に分けて入れておくのがおすすめです。片方を落としても、もう片方で最低限しのげるようにしておけば、避難の混乱の中でも困りにくくなるでしょう。通帳や印鑑そのものは持ち出さず、口座番号を控えたメモや保険証券の写しにしておくと、盗難や紛失の不安も小さくなります。
二次備蓄用の防災グッズリスト
自宅にとどまる在宅避難を支えるのが、二次備蓄用の防災グッズです。ここでは、数日分をまとめてそろえたい品目を、水と食料、トイレと衛生、熱源と電源に分けて見ていきます。
水と食料は在宅避難の日数分を家に置く
二次備蓄の水と食料は、自宅で数日を暮らせる量をまとめてそろえます。水は飲用と調理を合わせて1人1日3リットルが目安で、3人家族の3日分なら27リットルという計算になります。下の表に、在宅避難でそろえたい品目と目安の量をまとめました。
食料は、パックご飯やアルファ米、缶詰、レトルト惣菜など、火や水が乏しくても食べられる品を1人3日分の3食を目安にそろえます。しまい込むと期限切れで無駄になりがちなので、普段の食事で古いものから使い、減った分を買い足すローリングストックにすると、在庫を新しく保てるでしょう。缶詰やレトルトはそのまま常温で食べられるので、熱源が使えない場面の保険にもなります。家庭の備蓄品目をカテゴリ別にそろえるコツは、こちらの記事も参考になります。
| 用途 | 品目の例 | そろえる目安 |
|---|---|---|
| 水 | 飲料水・長期保存水 | 1人1日3L(3日で9L) |
| 食料 | パックご飯・アルファ米・缶詰・レトルト | 1人3日×3食分 |
| 熱源・調理 | カセットコンロ・ガスボンベ | ボンベ1人1週間で約6本 |
| トイレ | 簡易トイレ・凝固剤・処理袋 | 1人1日5回分 |
| 衛生 | ウェットティッシュ・大小のポリ袋・防臭袋 | 3日〜1週間分 |
| 明かり・電源 | ランタン・乾電池・ポータブル電源 | 家族で1〜2台 |

トイレと衛生の用品は断水を前提にそろえる
断水すると水洗トイレが流せなくなり、簡易トイレがなければ室内で用を足せなくなります。人は1日に平均5回ほどトイレに行くとされ、1人3日分なら15回分、1週間分なら35回分が目安です。便袋と凝固剤、においを閉じ込める処理袋がセットになったものを、人数と日数をかけてそろえておきます。
手洗いや入浴もできなくなるため、ウェットティッシュやドライシャンプー、体を拭くボディシート、大小のポリ袋や防臭袋も用意しておきたいところです。トイレと衛生は食料や水より後回しにされやすい備えですが、被災した当日から必ず必要になります。食料や水をそろえるのと同じタイミングで、最低3日分は先に確保しておきましょう。簡易トイレは地震だけでなく、配管の破損や断水工事でも役立つので、一戸建てでもマンションでも備えておく価値があります。
熱源と電源で調理と充電を確保する
ガスと電気が止まると、温かい食事もスマホの充電もできなくなります。カセットコンロとガスボンベを備えておけば、湯を沸かしてアルファ米を戻したり、レトルトを温めたりでき、冷たい食事続きで体力や気力が落ちるのを防げます。
ボンベは1人1週間でおよそ6本が目安で、直射日光の当たらない常温の場所にまとめて保管しておきましょう。スマホは連絡と情報収集の要なので、モバイルバッテリーを家族の人数分そろえ、普段から満充電に近い状態を保っておくと安心です。数日分の電気をまかないたい家庭は、ポータブル電源を1〜2台備えておくと、スマホの充電に加えて扇風機や小型家電も動かせるでしょう。ソーラーパネルと組み合わせれば、停電が長引いても充電を続けられます。
防災グッズリストの作り方と続け方
品目がそろってきたら、あとは自宅に合ったリストにして、切らさず回し続けるだけです。家族に合わせた作り方と、印刷してチェックしながら在庫を保つコツをまとめます。
リストは家族構成に合わせて品目を足す
一般的な防災グッズのリストは、あくまで出発点にすぎません。家族に赤ちゃんや高齢者、女性、ペットがいれば、そろえる品と量は変わってきます。下の表に、対象ごとに加えたい品目をまとめました。自分の家に欠かせない品を書き足して、一般リストを自宅版のチェックリストに直しておきます。
赤ちゃんには液体ミルクやおむつ、高齢者には常備薬や介護用品というように、その人がいないと本人が困る品は、市販のセットには入っていないことがほとんどです。家族で一緒にリストを作れば、置き場所や使い方も共有でき、いざというときに誰でも動けるようになるでしょう。アレルギーや持病がある人は、食べられない食品や欠かせない薬を書き添えておくと、家族が代わりに用意するときも迷いません。
| 対象 | 加えたい品目 |
|---|---|
| 赤ちゃん | 液体ミルク・紙おむつ・おしりふき・離乳食 |
| 高齢者 | 常備薬・お薬手帳のコピー・大人用おむつ・入れ歯洗浄剤 |
| 女性 | 生理用品・防犯ブザー・中身の見えないごみ袋 |
| ペット | ペットフード・水・リード・トイレシート |
リストは印刷してチェックしながら在庫を保つ
防災グッズのリストは、頭の中だけで管理すると必ず抜けが出ます。印刷して、一次の持ち出しリュックと二次の収納の両方に貼っておきましょう。「必要な量」と「今ある量」を並べて書き、そろった品にチェックを入れていくと、過不足がひと目で分かります。
半年に一度は日付を決めて、期限の近い品を手前に出し、切れた品や使った品を書き足して補充します。カレンダーやスマホのリマインダーに点検日を登録しておけば忘れません。不安から買いすぎると収納を圧迫して続かなくなるので、「たくさん持つ」より「切らさず回す」を目標に、無理のない範囲で備えを保つのがコツです。点検のたびに家族で中身を見直せば、成長した子どもの服のサイズを替えるなど、暮らしの変化にも備えを合わせていけます。
📦 何からそろえるか迷うときは
一つずつ買いそろえるのが大変なら、必要なものが一式そろった防災セットや非常食セットを土台にすると失敗が少なくなります。中身と家族の人数分を確認し、足りない品をこのリストで補ってみてください。
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まとめ
防災グッズは、避難所へ持ち出す一次持ち出し品と、自宅で数日暮らす二次備蓄品の2枚のリストに分けると、抜けなくそろえられます。一次は水・食料・明かり・情報・衛生・貴重品を背負える最小限にしぼり、二次は水・食料・トイレ・熱源・電源を数日分まとめて確保するのが基本です。リストは家族構成に合わせて赤ちゃんや高齢者に必要な品を足し、自宅版に直しておきます。あとは印刷して持ち出し袋と収納に貼り、半年に一度チェックして期限切れや不足を埋めていけば、備えは古くならずに保てるでしょう。まずは一次の持ち出し袋の中身から、今そろっているか確かめるところから始めてみてください。


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