簡易トイレの備蓄|必要数と選び方

備蓄リスト・必要量

大きな地震で断水すると、真っ先に困るのがトイレです。水が流せなくなった便器はすぐに使えなくなり、食料や水より切実な問題として押し寄せます。だからこそ、簡易トイレは備蓄リストのなかでも優先度の高いアイテムです。

とはいえ、いざそろえようとすると「何回分いるのか」「どれを選べばいいのか」が分からず、なんとなく1袋だけ買って安心してしまいがちです。人は1日に何度もトイレを使うので、家族分・日数分で考えると、必要な数は思ったよりずっと多くなります。

簡易トイレと携帯トイレの違いから、必要数の計算、選ぶときの基準、備蓄量の目安までを、これから備える人に向けてまとめました。使い方や処理の手順は別の記事に譲り、ここでは「いくつ・どれを備えるか」に絞って見ていきます。

簡易トイレと携帯トイレの基礎知識

簡易トイレと聞いても、携帯トイレとの違いや、備蓄として何をそろえればいいのかは意外とあいまいなままの人が多いものです。まずは種類の違いと、備蓄でそろえる中身から押さえていきましょう。

簡易トイレは水を使わず排泄物を処理する備え

簡易トイレとは、断水や停電で水洗トイレが流せなくなったときに、水を使わずに用を足すための備えです。便器にかぶせる便袋と、排泄物を固める凝固剤、使用後にまとめる処理袋がセットになった商品が一般的でしょう。自宅の便器やバケツにセットして使うので、住み慣れた場所でそのまま用を足せます。

災害時は、断水していなくても排水管の破損で流せなくなることがあり、マンションの高層階では復旧まで時間がかかります。避難所のトイレも数が足りず、行列や不衛生に悩まされることが少なくありません。水洗トイレが使えない状況は数日から数週間続く場合もあるので、家庭に一定数を常備しておくと安心です。まずは「水がなくても用を足せる備え」だととらえておきましょう。

携帯トイレは持ち運べる袋型で車や屋外でも使える

携帯トイレは、簡易トイレを小型化して持ち運べるようにしたものです。便器がない場所でも、袋と凝固剤だけで用を足せるので、車の中や屋外、避難所への持ち出し袋に入れておくのに向いています。1回分ずつ個包装になった商品が多く、かさばらないのが特徴です。

自宅にとどまる在宅避難では据え置き型の簡易トイレ、外出先や避難の途中では携帯トイレ、と場面で使い分けると無駄がありません。渋滞に巻き込まれた車内や、断水した勤務先でも、携帯トイレが1つあれば急場をしのげます。どちらも中身の仕組みは同じなので、備蓄の考え方も共通します。自宅用をメインにそろえたうえで、車や通勤かばんに携帯トイレを数回分足しておくと、外で被災したときも慌てずに済むでしょう。

備蓄でそろえるのは凝固剤入りの処理セット

備蓄として用意したいのは、便袋・凝固剤・処理袋がひとまとまりになった処理セットです。凝固剤が排泄物を素早く固めて水分を閉じ込め、においや漏れを抑えてくれるので、衛生を保ちながら保管や廃棄ができます。単品の袋だけを買っても、固める材料がなければ実際には使いにくくなります。

凝固剤や便袋がバラ売りの商品もありますが、備蓄目的なら、必要な中身が最初からそろったセットのほうが管理も補充も簡単です。実際の組み立て方や使ったあとの処理の手順は、別の記事でくわしく扱っています。ここでは「何を・いくつ・どんな基準で選ぶか」という備蓄の中身に絞って見ていきましょう。まずは1回分に必要なものがそろったセット商品を基準に、必要な回数分をそろえていく考え方を押さえておくと迷いません。

断水時のトイレ対策|簡易トイレの使い方
地震や災害で断水すると、トイレが流せなくなってすぐに困ります。この記事では、断水でトイレが使えないと起きる問題から、簡易トイレと携帯トイレの仕組み、便座にかぶせて凝固剤で固める使い方、必要数の計算、使用後の保管と処理までをまとめました。家族分の備蓄量を計算して備える手がかりとしてお使いください。

簡易トイレの必要数の計算

簡易トイレは、何回分そろえればいいのかがいちばん迷うところです。ここでは、1人が1日に使う回数から、家族分・日数分の必要数を計算する方法をたどっていきます。

1人1日の使用回数は約5回で見積もる

必要数を考える出発点は、1人が1日に何回トイレを使うかです。個人差はありますが、一般に1人あたり1日およそ5回が目安とされ、多くの自治体や防災の資料でもこの数字が使われています。まずはこの5回を基準に置くと、家族分の計算がしやすくなります。

体調や気温によって回数は増減し、水分を多くとる夏場や、下痢などの体調不良のときには5回を超えることもあるでしょう。小さな子どもや高齢者がいる家庭では、回数が多めになりやすい点も見込んでおきたいところです。少なめに見積もると災害の最中に足りなくなり、我慢は健康を害するので、目安は多めに取っておくほうが安全です。5回はあくまで最低ラインと考え、余裕を持たせて数えるようにしてください。

必要数は5回×日数×人数で求める

実際の必要数は、「1日5回 × 備える日数 × 家族の人数」で計算できます。たとえば4人家族で3日分なら、5回×3日×4人で60回分、1週間分なら140回分が必要になる計算です。1人暮らしでも3日分で15回分と、意外とまとまった数になるのが分かります。

下の表に、人数と日数ごとの必要回数の目安をまとめました。数字にすると、家族が多いほど、日数が延びるほど、必要な回数が一気に膨らむのが見て取れます。市販の簡易トイレは50回・100回・200回といったセット単位で売られていることが多いので、この必要回数に近い、少し多めのセットを選ぶと無駄がありません。買い足す手間を減らすためにも、まとめて確保しておきましょう。

家族の人数 3日分 1週間分
1人 15回 35回
2人 30回 70回
3人 45回 105回
4人 60回 140回

備える日数は最低3日・できれば1週間を目安にする

備える日数は、最低でも3日分、できれば1週間分を目安にします。3日は救援や支援が届き始めるまでの期間、1週間は在宅避難で自力をしのぐ想定です。トイレは食事と違って我慢がきかないので、日数は食料や水と同じか、それ以上に確保しておきたいところです。

大規模な災害では、下水道やトイレの復旧に1週間以上かかることも珍しくありません。過去の大地震でも、給水や電気より下水の復旧が遅れ、トイレに困ったという声が多く上がっています。置き場所に余裕があれば、1週間分を基本にして、さらに数日分を上乗せしておくとより安心できます。まずは3日分をそろえ、慣れてきたら1週間分へ広げるという順番で備えていくとよいでしょう。

簡易トイレの選び方の基準

必要数が見えたら、次はどの商品を選ぶかです。値段だけで選ぶと使いにくいこともあるので、ここでは備蓄向きの簡易トイレを選ぶ4つの基準を見ていきます。

凝固剤は固まる速さと処理できる量で選ぶ

簡易トイレの使い勝手を左右するのが凝固剤です。排泄物を素早くしっかり固めるものほど、水分が漏れにくく、においも抑えられて後始末が楽になります。固まるまでの時間が短い高吸水タイプなら、使ってすぐに袋を閉じられて衛生的です。

凝固剤には粉末タイプと錠剤タイプがあり、1回でどれくらいの量を処理できるかも商品によって差があります。粉末タイプは全体に広がって固めやすく、錠剤タイプは分量を数えやすいという違いがあります。水分の多い便にも対応できるか、1回分の量が足りるかを確かめて選びましょう。長期保存できるかどうかも大切で、使用期限が5年以上あるものを選ぶと、備蓄として長く置いておけます。

防臭性は消臭袋つきかどうかで見分ける

災害時のトイレで最も困るのがにおいです。処理した排泄物はすぐに回収されず、家の中に何日も保管することになるため、防臭性の高さは選ぶうえで欠かせません。消臭効果のある凝固剤や、においを通しにくい防臭袋がセットになった商品なら、室内でも快適さを保てます。

袋の素材によってにおいの漏れ方は大きく変わり、多層構造の防臭袋は一般的なポリ袋より格段ににおいを閉じ込めます。ペット用や医療用にも使われる防臭袋が付属していれば、狭い室内でも家族がストレスを感じにくいはずです。抗菌加工がされていると、雑菌の繁殖による衛生面の不安も減らせるでしょう。パッケージに「防臭」「消臭」と明記されているか、防臭袋が付属するかを確かめてから選ぶと失敗が少なくなります。

処理袋は中身が透けない不透明タイプを選ぶ

処理袋は、使用後の排泄物をまとめて保管や廃棄をするための袋です。中身が透けて見えると、保管中も廃棄のときも精神的な負担が大きくなるので、色つきで不透明なタイプを選ぶと安心できます。黒や白の厚手の袋なら、外から中身が分からず人目も気になりません。

袋の丈夫さも見ておきたいポイントで、薄い袋は結ぶときに破れたり、持ち運ぶ途中で穴が開いたりすることがあります。袋が二重になっているものや、口をしっかり縛れる形状のものだと漏れを防げるでしょう。ゴミ収集が再開するまで自宅で保管する前提なので、丈夫さは想像以上に重要です。付属する処理袋の枚数が使用回数分そろっているかも、あわせて確認しておいてください。

耐荷重と便器への取り付けやすさを確認する

据え置き型の簡易トイレや、便器がないときに使う組み立て式の便座を選ぶなら、耐荷重の確認が欠かせません。体重を支えきれないと使用中に壊れて危険なので、使う人の体重に余裕を持たせた耐荷重のものを選びます。高齢者が使う場合は、ぐらつかず安定して座れるかどうかも見ておきたいところです。

自宅の便器にかぶせて使うタイプは、便器のサイズに袋が合うかを確認しておくと、ずれてこぼれる失敗を防げます。組み立て式の便座を選ぶ場合は、収納したときの大きさや、素早く組み立てられるかも見ておくと安心です。下の表に、選ぶときに見ておきたい4つの基準をまとめたので、商品を比べるときの手がかりにしてください。4つとも満たすものを選べば、いざというときも不快さや不安を抑えて使えるでしょう。

基準 確認するポイント
凝固剤 固まる速さ・1回の処理量・使用期限(5年以上)
防臭性 消臭凝固剤や防臭袋の有無
処理袋 不透明で厚手・使用回数分の枚数
耐荷重 使う人の体重に余裕・便器サイズへの適合

簡易トイレの備蓄量と備え始め方

必要数と選ぶ基準が分かったら、あとはどれだけの量を、どうそろえ始めるかです。ここでは、備蓄量の目安と、無理のない備え始め方をまとめます。

必要数は人数分をまとめたセットでそろえる

備蓄量は、先に計算した必要回数を満たすセット商品でそろえるのが手軽です。たとえば4人家族の1週間分なら140回分が必要なので、200回分のセットを1つ用意すれば、余裕を持って家族全員をまかなえます。バラで少しずつ買うより、まとまったセットのほうが1回あたりの単価も安くなります。

簡易トイレだけでなく、トイレットペーパーや除菌用のウェットティッシュ、手指の消毒液もあわせて備えておくと、断水中も清潔を保てるでしょう。水が使えないと手洗いもできないため、これらの衛生用品は簡易トイレとセットで使う消耗品として欠かせません。備蓄リスト全体のなかで一緒にそろえておくと、いざ使うときの抜け漏れがありません。

防災の備蓄リスト|最低限そろえる品目
防災の備蓄リストは、何を・どれだけそろえればいいのか分からず最初の一歩でつまずきやすいところです。この備蓄リストでは、水・食料・トイレ・衛生・明かり・情報・電源の品目を、具体例と量の目安とあわせてカテゴリ別にまとめました。家族構成に合わせて自宅の過不足を洗い出し、いざというときに困らない備えを作る手がかりとしてお使いください。

まずは家族3日分のセットから備え始める

何から始めるか迷うなら、まずは家族の人数に対する3日分のセットを1つ用意するところから始めます。4人家族なら60回分が目安で、これだけでも「トイレがまったく使えない」という最悪の事態はしっかり避けられます。置き場所や予算に余裕が出てきたら、そこから1週間分へと少しずつ広げていけば十分です。

完璧にそろえようと構えるより、まず1セットを玄関やトイレの近くに置いておくことが、いざというときの安心につながります。日ごろ目につく場所に置いておけば、家族も置き場所を覚えられて、暗闇や混乱のなかでもすぐ取り出せます。必要なものが一式そろった簡易トイレのセットを土台にすれば、選ぶ手間も少なく、確実な第一歩になるでしょう。

防災グッズで本当に必要なものリスト|優先度で選ぶ最低限の備え
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🚻 簡易トイレのセットを備えるなら
必要な回数分をまとめて備えるなら、凝固剤・防臭袋・処理袋が一式そろったセットが確実です。家族の人数と日数から必要数を確かめて選んでみてください。
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まとめ

簡易トイレは、断水でトイレが流せなくなったときに水なしで用を足せる、優先度の高い備えです。必要数は「1日5回×日数×人数」で計算でき、4人家族の3日分なら60回分、1週間分なら140回分が目安になります。選ぶときは、凝固剤の固まりやすさ、防臭性、処理袋の不透明さ、耐荷重の4点を確かめると失敗しません。市販のセットで人数分をまとめてそろえ、トイレットペーパーや除菌用品も一緒に備えておくと安心です。まずは家族の3日分から用意し、余裕が出たら1週間分へ広げていきましょう。今日そなえる1セットが、いざというときの家族の安心を支えてくれます。

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