防災のために非常食をそろえようとして、専用の保存食が高いと感じて手が止まる。押し入れの奥にしまうと結局忘れてしまいそうで、なかなか買えない。そんな人は少なくありません。じつは、いつも台所にある食品の多くが、そのまま非常食の代わりになります。
わざわざ5年保存の専用品を買いそろえなくても、レトルトご飯や缶詰、乾麺、お菓子といった普段の食品で、備えの大部分はまかなえます。大事なのは、どの食品が非常食になるのかを見分けて、水や加熱が要るかを確かめておくことです。
この記事では、非常食になる身近な食品の考え方から、主食・おかず・軽食として代用できるもの、そして代用するときの注意点までをまとめました。専用の非常食を買い込む前に、家にある食品を備えに変えるヒントとして読み進めてみてください。
非常食になる身近な食品の考え方
特別な非常食を買いそろえなくても、防災の備えは今日から始められます。まずは、どんな普段の食品が非常食の代わりになるのか、その考え方から見ていきましょう。
非常食は専用品を買わずに代用できる
非常食というと、5年保存のアルファ米や専用の保存食を思い浮かべがちですが、必ずしも専用品をそろえる必要はありません。普段の食事で使っているレトルトご飯や缶詰、乾麺なども、災害時にはそのまま非常食として役立ちます。
専用品は保存期間が長いぶん割高で、一度買うと押し入れで眠りやすいのが弱点です。その点、普段から食べ慣れた食品を少し多めに持っておけば、味の心配もなく、コストも抑えられます。専用の保存食は非常時のために取っておくぶん、いざ食べようとしたときに口に合わないこともあります。まずは家にある食品を見渡して、日持ちするものを非常食の候補として数えてみるところから始めましょう。
代用に向くのは常温で日持ちする食品である
代用に向く食品には、共通した条件があります。常温で保存でき、賞味期限が長く、できれば調理なしでそのまま食べられるものです。冷蔵や冷凍が必要な食品は、停電時に傷んでしまうため、非常食の代用には向きません。
選ぶときは、水や火がなくても食べられるか、封を開けてすぐ口に入れられるかを目安にします。缶詰やレトルトのように、封を切らずに長く置ける食品ほど代用に向きます。加熱がいる食品を備えるなら、カセットコンロなどの熱源とセットで考えておくと安心です。下の表に、非常食の代わりになる身近な食品と、加熱や水の要否、保存の目安をまとめました。
| 代用品 | 加熱・水の要否 | 保存の目安 |
|---|---|---|
| レトルトご飯・パックご飯 | 温めなくても食べられる | 半年〜1年 |
| 乾麺 | 水と火が必要 | 半年〜1年 |
| カップ麺 | 湯が必要 | 半年前後 |
| シリアル・コーンフレーク | そのまま・水や牛乳で | 半年〜1年 |
| 缶詰 | そのまま食べられる | 1〜3年 |
| 乾物 | 水で戻す | 半年〜1年 |
| お菓子・チョコレート | そのまま食べられる | 半年〜1年 |
| ゼリー飲料 | そのまま飲める | 半年〜1年 |
ローリングストックと組み合わせると代用が回る
普段の食品を非常食にする代用は、ローリングストックと相性のよい備え方です。ローリングストックとは、少し多めに買った食品を古いものから使い、減った分を買い足して在庫を一定に保つ方法をいいます。
普段使いの食品をそのまま備えに回すので、専用の非常食のように賞味期限を切らして無駄にする心配がありません。缶詰やレトルトを日々の食事で消費しながら買い足していけば、気づけば数日分の食料が常に家にある状態を保てます。特別な道具や知識も要らないので、防災が続かなかった人にも取り入れやすい方法でしょう。代用品を「置いておく備え」ではなく「使いながら回す備え」に変えると、無理なく続けられます。

主食として非常食になるもの
災害時にまず必要になるのが、体を動かすエネルギー源になる主食です。ここでは、普段の食品のなかで主食として非常食になるものを見ていきます。
レトルトご飯とパックご飯はそのまま主食になる
温めるだけで食べられるパックご飯やレトルトご飯は、主食の代用として頼りになります。多くは常温のままでも食べられるため、停電で電子レンジが使えないときでも、湯せんや、そのままでも口にできます。
普段の食事でも使いやすく、賞味期限は半年から1年ほどあるので、ローリングストックで回しやすい食品です。1食分ずつ個包装になっている点も、必要な分だけ使えて便利でしょう。白米だけでなく、五目ご飯やおかゆのパックもそろえておくと、体調がすぐれないときにも食べやすくなります。まずは家族の1〜2日分を目安に常備しておきましょう。
乾麺は水と火があれば主食になる
パスタやそうめん、うどんなどの乾麺は、長期保存がきく主食の代用品です。乾燥した状態なので賞味期限が長く、常温で場所を取らずに保存できます。1袋で数食分になるため、家族分をまとめて備えやすいのも利点です。
ただし、乾麺は必ず水と火を使ってゆでなければなりません。断水や停電で湯が用意できないと食べられないため、カセットコンロと水をセットで備えておくことが前提になります。ゆで汁ごと食べられるスープパスタや煮込みうどんにすると、貴重な水を無駄にせず調理できます。ゆでずに水へ長くつけて戻す方法もあるものの、時間がかかるため火の確保が現実的でしょう。熱源の確保とあわせて考えておきましょう。
カップ麺は湯を注ぐだけで食べられる
カップ麺は、湯を注いで数分待つだけで食べられる手軽な主食です。器も要らず、乾麺のようにゆでる手間がないため、調理の負担を抑えたい災害時に向いています。温かいものを口にできる安心感も見逃せません。
必要になるのは湯だけで、カセットコンロと水があれば用意できます。賞味期限は半年前後と主食のなかでは短めなので、普段から食べて買い足すローリングストックが向いています。水しかないときは、時間はかかるものの水でふやかして食べられる商品もあるため、覚えておくと安心です。塩分が多くなりがちなので、飲料水を多めに備えておきましょう。
シリアルは水や牛乳で食べられる
コーンフレークやグラノーラなどのシリアルは、調理なしで食べられる主食の代用品です。そのままでもエネルギーを補給でき、牛乳や豆乳、水をかければ食事らしくなります。火を使わずに済むため、停電時でもすぐ口にできます。
食物繊維やビタミン、鉄分が加えられた商品も多く、災害時に不足しがちな栄養を補える点も魅力でしょう。賞味期限は半年から1年ほどで、袋を開けなければ常温で保存できます。子どもが食べ慣れているものを選んでおくと、非常時のストレスをやわらげられます。乾いたままでも食べられるので、まずは1箱を備えの棚に加えてみてください。

おかずと軽食で栄養を補う代用品
主食だけでは、たんぱく質やビタミンが不足しがちです。ここでは、おかずや軽食として栄養を補える普段の食品を取り上げます。
缶詰は開けてそのまま主菜になる
魚や肉、豆の缶詰は、開ければそのまま食べられる優秀なおかずの代用品です。加熱も水も要らず、たんぱく質をしっかり補えるため、災害時のおかずとして真っ先にそろえたい食品でしょう。ツナやサバ、焼き鳥、大豆など、種類も豊富にあります。
同じく常温で食べられるレトルトカレーや惣菜のパウチも、おかずとして役立ちます。缶詰の賞味期限は1年から3年と長く、備蓄のなかでも日持ちする部類です。味の濃いものはご飯やパンとも合わせやすく、食が進みます。普段の食卓でも使いながら、古いものから食べて買い足すと無理なく回せます。
乾物は水で戻して野菜を補う
切り干し大根やわかめ、高野豆腐などの乾物は、災害時に不足しがちな野菜やミネラルを補える代用品です。水で戻すだけで使え、乾燥しているぶん賞味期限が長く、常温で軽く保存できるのが強みでしょう。
生鮮の野菜は日持ちしないため、備蓄には乾物が向いています。水で戻して味付けすれば副菜になり、みそ汁やスープの具にも使えます。戻すのに水を使う点だけ注意し、飲料水とは別に生活用水を確保しておくと安心です。軽くて日持ちするので、非常持ち出し袋に少し入れておくのにも向いています。かさばらないので、収納に余裕がない家庭でも取り入れやすい備えになります。
お菓子とチョコレートは調理なしでエネルギーになる
ビスケットやクラッカー、チョコレートなどのお菓子は、調理なしですぐエネルギーを補える代用品です。糖質や脂質が多く、少量でカロリーをとれるため、火が使えない状況や、疲れて食欲が落ちたときの補給に向いています。
チョコレートは高カロリーで手軽な一方、夏場は溶けやすいのが弱点です。高温になる場所を避け、涼しいところで保存するか、夏は溶けにくいビスケット類を中心にするとよいでしょう。甘いものには、非常時の張りつめた気持ちを落ち着ける働きもあります。子どもがいる家庭では、食べ慣れたお菓子を少し多めに備えておいてください。
ゼリー飲料は食欲がなくても栄養をとれる
パウチ入りのゼリー飲料は、封を開けて飲むだけで栄養を補える代用品です。食欲が落ちているときや、噛む力が弱い高齢者、体調がすぐれない人でも口にしやすいのが特徴でしょう。加熱も水も要らず、そのまま飲めます。
エネルギー補給向けやビタミン補給向けなど種類があり、目的に合わせて選べます。賞味期限は半年から1年ほどなので、普段の生活で飲みながら買い足すと無駄になりません。かさばらず持ち出し袋にも入れやすいため、家の備蓄と非常持ち出し袋の両方に加えておくと安心です。まずは家族の人数分を目安にそろえてみましょう。
普段の食品で代用するときの注意点
身近な食品で非常食を代用するときには、気をつけたい落とし穴もあります。安心して備えるために、代用の限界と、確認しておきたい点をまとめます。
代用品は水や加熱が要るかを先に確かめる
普段の食品を非常食にするときは、その食品が水や火なしで食べられるかを先に確かめておくことが大切です。乾麺やカップ麺、乾物のように調理や水戻しが必要な食品は、断水や停電で使えないと、備えていても食べられません。
災害時はライフラインが止まる前提で考えておく必要があります。加熱がいる食品を備えるなら、カセットコンロとボンベ、調理用の水をセットでそろえておきましょう。反対に、缶詰やお菓子、ゼリー飲料など、そのまま食べられる食品も一定量そろえておくと、熱源が使えない最初の数日を乗り切れます。両方をバランスよく持つのがこつです。

代用だけでは栄養と保存期間に限界がある
普段の食品による代用は手軽で続けやすい一方、専用の非常食にはかなわない面もあります。多くの普段の食品は賞味期限が半年から1年ほどで、5年保存の専用非常食に比べると、こまめに期限を確認する手間がかかります。
また、主食とお菓子ばかりに偏ると、たんぱく質やビタミンが不足しがちです。缶詰や乾物、ゼリー飲料を組み合わせて、栄養のバランスをとることを意識しましょう。長期の備えや、管理を簡単にしたい部分には、市販の非常食セットを土台として組み合わせると穴が埋まります。普段の食品で回しつつ、足りないところを専用品で補うのが、無理なく続く備え方になります。
📦 足りない分を非常食セットで補うなら
普段の食品だけでは不安が残る部分は、必要なものが一式そろった非常食セットで補うと安心です。家族の人数分と中身を確認して選んでみてください。
〔おすすめの非常食セットはこちら〕(※販売リンク挿入枠)
まとめ
非常食は、専用の保存食を買わなくても、普段の食品で十分に代用できます。レトルトご飯やカップ麺、シリアルは主食に、缶詰や乾物はおかずに、お菓子やゼリー飲料は手軽な栄養補給になります。選ぶときは、水や加熱が要るかを確かめ、そのまま食べられる食品と調理がいる食品をバランスよくそろえておくことが大事です。これらをローリングストックで普段から使いながら回せば、期限切れの無駄も出ず、いつも数日分の食料が家にある状態を保てます。代用だけでは保存期間や栄養に限界があるので、足りない部分は市販の非常食セットで補いましょう。まずは今日の買い物で、日持ちする食品を1つ多めにカゴへ入れるところから始めてみてください。


コメント